2020年9月23日 更新

目的ベースのデータ分析②~STP分析から解説~因子分析、クラスター分析

実際のアンケートデータの例をもとに、毎回一つの目的に焦点を当て、分析事例を紹介していきます。

今回のテーマ

今回の記事におけるデータ分析のテーマは、「市場の細分化(セグメンテーション)」です。マーケティングを展開する為には、製品戦略や価格戦略などマーケティング・ミックスを実施する前に踏んでおくべき段階があります。
最終的な目的から説明すると、1つ目は「自社製品のイメージを、顧客の頭の中に刻み込むこと」(ポジショニング)です。例えば、私があなたに「吸引力の変わらない掃除機は何ですか」と問いかけ、あなたが「ダイソン」と答えたのであれば、ダイソンはあなたの頭の中に独自のポジションを築いていることになります。激しい競争市場において顧客を獲得するには、顧客の頭の中に独自性のある強力なポジションを築かなければなりません。
2つ目は、この独自のポジションを築く為に「自社がマーケティング努力を注力すべき顧客層を定めること」(ターゲティング)です。売り手発想で商品を開発したものの、その製品特徴を重視する顧客層がいない場合、顧客の頭の中に強力なポジションを築くことは難しくなります。そうならない為に、自社が注力する顧客層を見定め、その顧客ニーズにフィットした製品開発、価値の提供が重要となります。
3つ目は、自社が対応する顧客層を定める為に「自社が挑もうとしている市場を、ニーズに応じて細分化すること」(セグメンテーション)です。ある製品特徴を重視する顧客がいれば、他の製品特徴を重視する顧客も存在します。このようなニーズの違いから複数のグループに細分化することにより、ニーズ毎の規模を把握でき、市場の全体像が理解できます。説明の為に、ポジショニング、ターゲティング、セグメンテーションの順に紹介しましたが、実践においてはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの順で行うことが一般的です。また、この頭文字からSTP分析と呼びます。
今回はSTP分析の最初に見るべき市場の細分化(セグメンテーション)について説明します。

分析方法

細分化すべき、ということは理解できたが、具体的にどのようにやるのか?という問題が出てくると思います。細分化に用いる変数は地理的変数、人口統計的変数(年齢、性別、所得、学歴、職業など)、心理的変数、行動上の変数の4つに分けられます。どの指標を使うかは調査目的次第ですが、今回は消費者視点で考えターゲットを設定するので、心理的変数で細分化します。
 
ここで因子分析とクラスター分析を使用します。
因子分析とは、個々のデータの相関を説明できるような、共通の要因を見つけていく手法です。ある商品を買うときに考えられるポイントが30項目あったとします。この30項目を、どういう人がどのくらい重視しているのか、そのパターンを見出すことはとても大変です。そこで、因子分析を行うと、これら30項目をその背後にあるいくつかの共通の要因(=因子)に集約することができます。
クラスター分析とは、人やモノを、その特性や潜在的なニーズなどいくつかの切り口をベースに分類するときに使用する手法です。クラスター分析を行うことによって、似通った特徴を持ついくつかのグループ(クラスター)に分けることができます。よって、今回であればバイクに求める重視点に対して因子分析を行い、バイクユーザー特性をクラスター分析で分類し、細分化します。
(調査概要)前回記事URL:https://mr-journal.com/analysis/NWRW7
今回は、因子分析について説明します。

因子分析

因子分析に用いるデータはすべて数量データでなければなりません。今回のデータタイプは5段階評価です。5段階評価のデータは数量データとして扱うことができます。
因子分析では、因子数の決定、分析に使用する変数の選択を試行錯誤しながら、因子を特定していきます。この過程で、因子の抽出、因子軸の回転という手法のオプションがあり、今回は細かい説明は省略しますが、最尤法、バリマックス回転を使用しました。

【因子数の決定】

変数間に共通する要因を固有ベクトルといい、この大きさを固有値といいます。固有値の大きい順にそのサイズの変化(「スクリープロット」)を見ながら、いくつの因子を抽出するかを決定します。
今回は、4つ目以降は固有値が小さく変化がないので、3つめまでで情報が集約されているとみて、因子数を3としました。
この結果は、バイクユーザーを俯瞰すると全体的に3つの潜在ニーズがあるということを示しています。
 (891)

スクリープロット(平行分析)…図中PC Actual Dataの線が固有値の大きさ

【因子負荷量の計算】

因子数が決まれば、因子の抽出、回転を行って、「因子負荷量」と呼ばれる、因子と変数の間の相関が計算されます。
因子ごとに因子負荷量(因子と各項目との相関)が高い質問項目を見て、各因子がどのような要素を表しているかを解釈して因子名を付けます。
 (892)

因子1:スペックへのこだわり
⇒「希少性」、「アフターパーツの数」、「冷却方式」、「適合タイヤの種類」、「タンク容量」、「エンジン機構」、「馬力」
因子2:実用性
⇒「操作性」、「安全性」、「メンテナンス性」、「堅牢性」
因子3:ルックス
⇒「見た目の好み」、「スタイル」

これでバイク市場の顧客の潜在ニーズを3つに集約して抽出できたことになります。

終わりに

今回はバイクに求める重視点に対して因子分析を行い、3つの共通要因に集約しました。
次回は、因子分析から得られたニーズを基に、クラスター分析でバイクユーザーを分類し、市場の細分化を行います。
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