2020年11月11日 更新

【対談企画:資生堂ジャパン元社長(杉山繁和氏)①】一流企業が考える市場調査の役割

元資生堂ジャパン社長で現在はSENマーケティング事務所代表の杉山繁和さんとの対談動画をMAppsチャンネルで公開しています。(全2回) Part1(前半)では一流企業が考える市場調査の役割ついて内容濃くお話しいただいたので、MRJではその内容をかいつまんでご紹介します!

資生堂ジャパン元社長(杉山繁和氏)が語る「一流企業が考える市場調査の役割」【対談前半】

一流企業が考えるマーケティングリサーチの役割

一流企業が考えるマーケティングリサーチの役割

複数ブランドを持っていたり、1つ1つのブランドがある程度規模を持っている会社ではリスクヘッジをしなければなりません。
闇雲に商品、またはブランドを市場に導入する、ということもできないですし、逆にどのタイミングでそれをやめるとか、改変や改良していくか判断することも大事になってきます。

そうなるとマーケティングリサーチはマーケティングのフローの中できちんとゲートを設け、そこで検証しながら前に進んでいくというそういう1つのフローの中の大きな役割として扱われることが多いです。

日系と外資系のリサーチに対する考え方について

杉山さんが最初に入社したライオン株式会社では、早くから外資系のマーケティングを取り入れていたようですが、資生堂では商品開発、施策、プロモーション、というように厳格に分かれており、一連のブランディングが希薄だったようです。
ブランドはコーポレートブランドとは違う、ということもここ数年で改革できたようですが、日系や外資系というよりもマーケティングがどういう風に展開されてきたか、という歴史のほうが大きいです。

ちなみにケロッグやコカ・コーラなどアメリカの会社ではマニュアルがきちんと整備されており、どういうフレームで考え、どういうフローで物事を回し、どこでゲートを設けるか、というような基本的な考えがしっかりあります

ただし、データの使われ方や良し悪しは、日系か外資系か、というよりリサーチャーやマーケッターによります

リサーチとノーム値について

リサーチやノーム値についても日系か外資系か、という違いよりもそこの会社がノーム値をもっているかどうかだと思います。
ノーム値を作るためには標準化された調査フォーマットがないとできません

コカ・コーラはブランドごとに潤沢なバジェットを持っていて、ブランドごとに調査もやっていたけどU&Aなどの実態調査はコスト面で無駄なことをしていたし、同時にサンプルサイズが分散されて小さくなってしまっていたそうです。
全部を括ってマーケット全体のピクチャをどう見るか、ということが外資といえどもできていませんでした。

また、仮にその基準値ができても成功するかどうかはわかりません。
マーケティングリサーチは再現性を高めることが最初に必要ですが、実際にマーケットインするときには想定していた環境とはほぼ変わってしまいます。
競合の新商品だったり、消費者の購買態度だったりが変化しているので100%当たるということはありません。
ただ、確実に言えることは事前のリサーチで×がついたものは100%×になります。
〇になったものでさえ100%成功ということはありません。

リサーチ出身の経営について

直感で物事を見るとか感じる、ということの大切さは経営をやることで学んだようです。
リサーチをする上で1番重要なのは人に興味があるかどうかです。

片方できちんとした定量調査やリファレンスを持っていながら、消費者が言ってくれないこともたくさんあるので自分の直感を鍛えて、自分でメジャーメントを作ることが大事です。

データの解釈について

調査に必要なものとして、FT2と3Aというものがあります。

FT2
Fact(事実)
Truth(真実)
Transparency(透明性)

3A
Accountability(説明責任)
Action Standard(行動基準)
Accuracy(正確性)

特にこのAction Standard(行動基準)は事前に握ることがとても大切です。

行動基準と調査設計について

マーケティングバックグラウンドをマーケッターが持っているのは当然ですが、広告を作る人やリサーチをする人にも共有することが大事です。
分業型になってしまっており、部分部分で広告設計や調査設計を依頼されてもできません。

20代女性、というような大きなくくりではなく、もっと細かくどういう条件の人に対して、何をどのバリューで、というのを事前にお互い共有して調査設計をすることが大事です。

今後のリサーチの役割について

定量的なアプローチの手法が変わることはありませんが、線引きをしてしまうと役割はなくなってしまいます。
調査のプロであるのは大前提ですが、消費者のプロでもあることが大事です

人に興味があるからマーケティングリサーチの仕事をしていると思うので、どうやって本当の姿を炙り出すかがもっと求められると思います。

これまでのリサーチデータとは別のデータ提供は必要か

どういうデータが必要になってくるかはそのニーズによるし、パネルデータは当然必要ですがあくまでも結果でしかありません。

次なにするの?ということへの示唆は全部ここから導き出せるわけではないからです。
ここに繋がるところにお金をかけなきやいけないし、そのバリューを伝えることがリサーチャーの役目です。

実際の対談動画はこちらです。
杉山さんの実体験や具体的な考え方等より詳しくお話いただいているので、ぜひ記事と併せて御覧ください。

https://youtu.be/FSIOSG5Rpk0
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この記事のキュレーター

Sayuri Sayuri