2021年1月15日 更新

【対談企画:日産株式会社(高橋直樹氏)①】一流企業が考える市場調査の役割

日産株式会社、高橋直樹さんとの対談動画をMAppsチャンネルで公開しています。(全2回) Part1(前半)では一流企業が考える市場調査の役割について内容濃くお話しいただいたので、MRJではその内容をかいつまんでご紹介します!

はじめに

この記事はYouTubeにアップした対談動画との連動記事です。
というよりむしろ動画がメインで、こちらの内容は概要レベルのものとなっております。
内容をしっかり理解するためにも、ぜひ動画と合わせて本文を読んでみてください。

日産自動車株式会社の一流リサーチャー(高橋直樹氏)が語る「一流企業が考える市場調査の役割」【対談前半】

一流企業が考える市場調査の役割

まず前提として、一流会社だから条件が恵まれていてこういうことができるのではないか、と言われるのは不本意なのでどの企業にも当てはまるように市場調査の役割を端的に述べると、それぞれの会社のリサーチ部門が自分たちのあるべき役割を構想し、その構想が実現できるようにその役割や仕事の領域を獲得していくことであると思います。

「こういうことやってくださいね」と頼まれたことだけをやっていると、カスタマーの声を十分にビジネスに活かすことができないんじゃないのではないでしょうか。

実際に日産自動車ではどのようなことを実践していたかについて、大きく4つの役割を紹介します。

市場調査の役割その① 世界中のカスタマーリサーチをすること

日産自動車の場合、世界各地から集まってきた消費者の声を集めて、グローバル本社にいるいろいろなプランナーたちに届ける仕事をしています。

具体的に車の生産を例にとって説明します。
車はグローバルな商品ですが、各国に合わせるとコストが高くなり採算が取れないため、同じ1つの車を世界中で売るのが基本です。

発売する国それぞれの消費者の声を集めて結果を商品企画の人に報告するわけですが、国が違うとニーズが違うためそのまま報告すると回答がバラバラになってしまいます。
なのでグローバル本社でお客様の声を束ね、こんな風にすると一つのお客様という風に考えることができますよねとまとめたり、こんな風に優先順位をつけるといいですよ、という風に整理をしてあげることが役割となっています。

市場調査の役割その② 販売台数予測をする

日産自動車では販売台数予測をする際に、外装も内装も本物のように作り、乗り込むこともできる実物大の模型を作ります。
その車を会場に置き、競合になりそうな他社の車と並べ、ターゲットカスタマーになりそうな人を集めて会場調査を行います。
そしてその結果を使って世の中に出した時どのくらい売れるかという販売予測をしています。

コストは結構かかるし予測の難易度は高いのですが、結構いい精度で当たるのでその精度の良さが私たちの部門の信頼のベースになっています。

もう1つ、少し特徴的なのですが、先程の手法を少し発展させてどういう車なら売れそうか、ということを調査なしでもある程度予測するやり方を開発しました。

それはどういう場面で使うかというと社内で提案をするときに、どういうことをすれば販売台数がどのくらいになるか、と計画の検証をするのに役立っています。
提案する部署の人と予測データを用いて議論することにより、カスタマーの大事な知見やニーズがビジネスの提案の中に組み込まれていくというプロセスを作ることに成功しました。

市場調査の役割その③ トレンド研究

車の開発というのは大体3〜5年ほどかかります。
ですので今日聞いたお客様の声を聞いてそのまま作ってしまうと世の中に出るころには3~5年前の古い声だということになってしまいます。
なので今日聞いたお客様の声が世の中のトレンドに乗っかって変化していくと、3〜5年先にはこうなっているはずだ、だからこういう風に理解をして解釈してください、と色々な意思決定者に伝えることが大事になってきます。

市場調査の役割その④ マーケティングROIのアセスメント

日産の場合、特にアメリカで値引きをするのが1番効率的、となってしまっていました。

それを避けるために意図的にブランドエクイティ要素というのを組み込み、マーケティングに使ったお金のどれぐらいがブランドエクイティを上げることに貢献しましたね、その結果としてこれだけ車が売れるようになりましたね、という構造にしました。
世界各国のマーケティングに使った予算をお金の効果を測定して、単に販売台数を上げるだけではなくブランドを上げるためにはこういう予算の配分にすべきであるという、そういう提言もしています。

もっと細かな市場調査の役割

マーケティングリサーチをやるからには各部門のアクションに変化をもたらすことが大切です。
何も変化が起きなければリサーチは存在しないのと同じになってしまいます。

各部門のアクションに変化をもたらすためにはどうすればいいかというと、まずは一旦広く捉えて相手の課題を整理してあげます。
事業部門は目の前の目標を達成することに必死になっているので、一歩広げた視野で相手の考えている戦略をリードするような議論をしていくことが大事になってきます。

そしてその時大事にしている、リサーチ部門でしか持てない3つ視点があります。

①カスタマー視点
②長期視点
③ブランド視点

また、Provocativeも大切にしています。
日本語でいうと「相手に刺激を与えたり、ある意味挑発したり、相手を揺さぶったり」というようなニュアンスになります。
私たちが提案したことに対し、「その通りだね」とか言われると意味がありません。
「え、そうだったの!全然知らなかった!」と相手が膝を打つとかという風にあって欲しいし、そのほうが私たち自身も楽しいのでインパクトを持てるようなのを心掛けています。

最後に大事なのはこれらが永続的になるように、つまり人が変わっても大丈夫なようにプロセス化しなければならないということです。
人が変わっても「リサーチ結果がこんな風に使われる」というやり方は変わりません。

領域を拡大しながら後戻りしないようにする、それが私たちの重要な役割だと思っています。
実際の対談動画はこちらです。
具体的な資料を基により詳しくお話いただいているので、ぜひ記事と併せて御覧ください。

https://youtu.be/haC534xcZSg
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この記事のキュレーター

Sayuri Sayuri