2020年8月20日 更新

NPS vs CES

ネットリサーチCron : リサーチ関連の話題・手法について、業界内外の人が息抜きに読めるような軽いコラムです。

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最近、顧客満足度関連の仕事に携わることが多かったので、NPSとCESについてつらつらと思いつくことを書いてみようと思います。

NPSもCESも顧客満足度調査において顧客ロイヤリティを測る指標です。顧客満足度調査は製造業の企業やブランドにも活用されていますが、基本的にはサービス業を中心に行われているといえ、NPSとCESもサービス業での利用をイメージして作成されていると思います。

NPSは、ベイン&カンパニーのフレッド・ライクヘルドによって考案されたものです。リサーチ業界ではだいぶ認知度が高い指標だと思います。Net Promoter Score、日本語で(正味)推奨者比率のことで、そのブランド/企業を人に奨めるかという質問に10点満点で答えてもらい、9~10点を推奨者、7~8点を中立者、0~6点を批判者と分類して、推奨者-批判者の比率をスコアとします。

一方、CESはガートナー傘下のCEBという調査会社が開発したもので、NPSに比べて認知度はやや低いです。Customer Effort Score、日本語に直すと顧客努力スコアでしょうか。そのブランド/企業を利用(取引)しているのが容易か面倒かを5段階尺度等で質問し、容易(計)-面倒(計)をスコアとします。

NPSは、「人にすすめる」という非常にロイヤリティの高い人、満足度の高い人に着目した指標だ、といえると思います。一方、CESは、「面倒=トラブル」のある人の比率、つまり問題のある取引に着目した指標だといえ、対照的な観点の指標になっています。

この特徴の違いによって、利用する企業が、現状に適した指標を利用するのが良い、と考えることができるかもしれません。差別化できるサービスを展開し、強いファンの拡大によって商売を大きくしたい企業はNPSを、取引上の問題点を解消していくことで顧客を獲得していきたい企業はCESを、といった感じです。

しかし、ごく素朴な考えですが、人に奨めたいとも思わないし、利用するのに面倒な点はいろいろあるけど、自分にとっては最高のもの、というような商品・サービスもあるかもしれないなと思います(例:中古のアメ車とか)。

この2つの指標はいずれも、いい評判あるいは悪い評判、つまりクチコミWord of Mouth を重視しているところは共通しています。

偏見かもしれませんが、いずれの指標も投資家的、拡大主義、巨大企業志向といった方向性に寄り添った観点で作られているように思います。NPSが利益成長性との相関を大々的にうたって(批判的議論はありますが)、浸透していることはその表れのようです。

2指標ともアメリカ発のアイデアですが、サービス・マネジメントの分野では、北欧発(クリスチャン・グルンルースなどのノルディック学派)で、顧客価値や価値の共創といった概念を中心としたアプローチが有力な議論として近年話題になっています。

「アフター・コロナの、ベンチャー企業でない日本企業」をクライアントとしてイメージすると、単純に利益・売上との関連重視でNPSやCESを導入する、のとは異なるKPIと顧客満足度調査の設計が考えられるのではないかと空想しています。



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