2020年7月9日 更新

副業としてのアンケートモニター

ネットリサーチCron : リサーチ関連の話題・手法について、業界内外の人が息抜きに読めるような軽いコラムです。

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バイトとしてアンケートに答えることの問題

試しに「アンケートモニター バイト」でググってみると、下のような結果になります。いまやこのような情報をみても何も思わないけれど、昔、求人サイトにパネルの募集広告が出ていたときはちょっとびっくりしました。それは、リサーチの対象者への依頼はあくまで協力依頼であって、謝礼は報酬ではないと思い込んでいたからです。
「アンケートモニター バイト」

「アンケートモニター バイト」

職業、とまではいかないけれど、バイトとしてアンケート回答者をやっているひとに調査を依頼するなんて、と漠然と考えていたものです。本来調査は、世論調査や公的な統計に限らず、その目的・主旨を説明し、究極的には社会や生活を良くしていくために意味のあるものだという建前で協力してもらい、正直な回答を集めるものだ、報酬のためにアンケートに答えるような人は別の観点(効率とか忖度とか)で回答をしてしまう、と考えていました。

実際この問題はないわけではなく、顕著に出る事例としては、「現在使っている商品の銘柄」をありえないほどめちゃめちゃたくさん答える回答者、という問題があります。

マーケティング関係のインターネット調査ではたいがいスクリーニング調査で「この銘柄の使用者」などと対象者を絞り込んで調査します。

回答者側から見ると、スクリーニング調査への回答ではほとんど謝礼(ポイント)はもらえず、本調査に進んで回答することでそれなりの報酬になります。したがって、現使用銘柄をきく質問などにはできるだけたくさんチェックして本調査に進む可能性を高めようとするわけです。これは、当然データに偏りを与えます。

自分の経験では、こうした回答者はそれほど多いわけではない~1%にも満たない~ですが、必ずいます。また、これはインターネット調査に限った話というわけではなく、オフライン調査でも、特にモールインターセプト(街頭で対象者をリクルートする)などでは、こうした”cheater”はいます。

と言って、「だからリサーチなど信用できない」という人は、アニサキスが入っている可能性があるからサバは食べない、と言っているようなものです。問題はリサーチ会社側もわかっていて、対処と料理のしようがある、というわけです。

実際には副業にはならない、それでいいのか

さて、話は元にもどって、じゃあアンケートモニターが本当にバイトになるのか、というと、オフラインの定性調査(グループインタビューとかデプスインタビューとか)に参加すればそれなりのお小遣いにはなりますが、インターネット調査に答えるだけだと、本当に少ない謝礼(ポイント)しかもらえないことがほとんどです。

昔ながらの調査の対象者という考えにとらわれずに考えると、リサーチ用のパネルはAmazon Mechanical Turkのようなクラウドソーシングサービス(実際、心理学の実験やアンケートでは対象者として広く使われていると聞きます)の一種とみることができます。

と考えると、謝礼(報酬)があまりに貧弱ではないだろうか、批判的にいえば「搾取」ではないかという見方もでてきます。アンケートモニターに、副業として成り立つくらいの報酬を与えられるような仕組みにしないと、sustainableではないのではないか。マーケットや商品を共創するためのパートナーに対して、十分な報酬でないのではないか。などなど。

JMRAの「インターネット調査品質ガイドライン」でも同様の問題意識は書かれていて、「調査対象者を大切にする」ための1要因として、「回答負荷を意識した謝礼の支払いを心がける」があげられています。

さて、そう考えるとリサーチに特化したパネルでいいのか、という疑問がわいてきます。むしろ、アンケート回答以外にもさまざまな報酬をもらえる機会を提供して、総合的に副業・バイトとして成立させるべきではないか。

実際には、モニター側でアンケートサイト以外にもさまざまなポイント・謝礼をもらえるサービスに登録することで、全体として小遣い稼ぎとしている人がかなりいると思いますが、それを、サービス提供者側でワンストップのクラウドソーシングサービスとして会員化できないものか。そうでないとアンケート回答だけではパネルの成長には限界がある、というようにも考えたくなります。

そうすると、パネル会社をリサーチ会社と別にして、一種のクラウドソーシングサービスとして展開したくなってきます。とするとリサーチ会社の立場としては、いろいろ議論や問題が出てくるのですが・・・現実には、マーケティング・リサーチ用を標榜するパネルでも、本来禁じ手であったプロモーション用に使われている例はいくらもあります。

日本では、アメリカなどと比べるとリサーチ会社とパネル会社が分離していない傾向があると思います。これは、日本のリサーチ会社の業務がフィールドワーク中心で、分析やコンサルティング面で稼げていない、という面があるからかもしれません。

分離されるようになった場合、パネル自体は必ずしもマーケティング・リサーチ最適ではなくなって、その面では質が下がるかもしれませんが、逆にリサーチ会社側がパネルから独立するため、パネルのコントロールやサンプリング手法をよりシビアに考えるようになるのではないかとも思うのですが、どうでしょうか。

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