2020年8月27日 更新

D.I.Y.リサーチ入門(11)

DIYリサーチのツール・サービス、アンケートの設計から分析までのかんたんな入門コラム

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2 アンケートの対象者(パネル)と配信・回収

対象者リストがない場合の回答者の集め方について考えてみたいと思います。

若干のリスト(つて)はある、という場合は、人づてに対象者を紹介してもらう(機縁法)、というやり方が考えられます。また、特に最初に依頼した人に、協力してくれそうな人にアンケートを紹介してもらい、その人がさらに別の人に紹介する、というつてを頼る形で対象者を広げていくやり方をスノーボールサンプリングといいます。雪玉が転がるほど大きくなるように、対象者が広がっていく、というイメージです。この場合、紹介に頼るという方法上、調査主体の信頼性や調査目的の公共性、あるいはそれなりの謝礼が必要条件になります。

全く新たにリストを作るという場合は、オウンドメディア上、あるいは広告を使って対象者募集を行う、というやり方があります。この場合は、それなりのオウンドメディアをもっているか、広告予算があること、さらにそれなりの謝礼が必要です。また、前回示したオープン調査も同様ですが、どれだけ協力者が集まるか事前にわからないということもあります。しかし、例えば「受験生」とか「住宅購入予定者」など限定された対象者に調査したい場合、そうした条件の人が数多く利用しているメディア、サイトがある場合は、そこに広告を出して協力者を募集する、というのは合理的なやり方だと思います。

回答者にかなりの労力が必要となるような負荷の高いアンケートや、継続的な調査協力を依頼したい場合で謝礼を十分用意できる場合には、クラウドソーシングを利用して協力者を募る、というのも現代的なやり方として考えられます。実際、海外では心理学の研究のための実験・アンケートの協力者にMTURK(アマゾン・メカニカル・ターク)といったクラウドソーシングサービスを使うことがよくあるようです。

既存パネルの利用(リストを借りる)

リサーチ会社が収集・保有している、アンケート用対象者集団のリストを「パネル」といいます。対象者のリストがない場合、これらのパネルを借りてアンケートをすることもできます。アンケート用のリストなので、経験的にどのくらい回収できるか事前に見込が立ちますし、回収完了するまでの時間も短くなるので、結果を報告するまでの時間的余裕がない場合は大変便利です。パネル利用料金は質問ボリュームに応じた謝礼を含んだものになっていますので、謝礼について考える必要もありません。

DIYリサーチ用ツールの多くは専用のパネルがついており、その利用もサービスに含まれていることが多いです。質問量とサンプルサイズに対応した費用(パネル利用料)を支払うことで、パネルを借りてアンケートに答えてもらうことができます。パネルが基本サービスについていないツールであっても、ツール会社に手配をお願いできることもあります。

リサーチツールについているパネルを利用するのは、見積もりをとったりする手間もなく便利で、利用のハードルが低いのですが、他にもっと良いパネルがあるかもしれないと考えると、そのパネルしか選択できないというのは自由度が低くDIY精神に悖ると思いますので、別途借りられるパネルを自分で用立てることも考慮しておきたいです。

例えば、GMOリサーチ(https://gmo-research.jp/service/japan-online/ss)やアスマーク(https://www.asmarq.co.jp/qa/qa0120/)、マーケティングアプリケーションズ(https://mkt-apps.com/business/panel/)などといったリサーチ会社で、パネルの貸し出し(パネルサプライ)を行っています。また、楽天インサイトも研究利用であればパネルの貸し出しを行っているようです。(https://insight.rakuten.co.jp/service/academy.html

これらの会社のように表立ってサービス化されていなくても、たずねてみるとパネルを貸してくれるリサーチ会社もあると思うので、よさそうな会社・パネルであれば、借りられるか問い合わせてみてもいいでしょう。

また、海外ではリサーチ会社とは別にパネル会社が独立して営業しているケースが多く、ダイネータ(https://www.dynata.com/)やシント(https://www.cint.com/)、データスプリング(
https://www.d8aspring.com/)といったパネル会社から日本も含めいろいろな国のパネルを借りることができます。ここにあげた会社は英語のウェブサイトしかありませんが、日本の出先もあるので、日本語で担当者に問い合わせることができると思います。

パネルを借りる場合のシステム的な要件としては、たいてい以下のようなプロセスを実行できれば問題ありません。主旨としては、アンケートに協力してくれた人のIDを把握して、リサーチ会社に伝えることです。

1.    アンケートのURLをリサーチ会社に伝えて、対象者のIDをURLパラメータとして付けてアクセスしてもらう。
2.    対象者がアンケートにアクセスして回答が完了したら、リサーチ会社の用意する回答者情報APIのURLにリダイレクトし、パラメータを介してIDと回答した質問数(多くのケースでは、対象条件に合わないなどでの途中終了=スクリーンアウト、回答完了=コンプリートが判別できるフラグ・コードを付ければ十分)をリサーチ会社のAPIに連携する。
3.    回答途中のIDが再度アクセスしてきた場合は、続きを回答してもらう
4.    既に回答済みのIDが再度アクセスしてきた場合、再回答できないようにするか、回答修正を許してよい場合は修正インターフェイスを出し、この場合はリサーチ会社の回答者情報APIにリダイレクトはしない

パネルを貸してくれるリサーチ会社はこの辺のプロセスや注意点をよく知っていますので、初めての利用の時によく打ち合わせておけば問題なく実施できると思います。

このほか、回答してくれたパネルの「質」について検証する必要があります(回答者の質は、パネルを借りた場合でなくても検証する)。検証・比較して、どのリサーチ会社のパネルが良いか、それぞれの特長を把握できるようになってくれば、DIYリサーチャーとして上級といえると思います。このことについては、次回以降の集計・分析ツールの説明の中で取り上げたいと思います。

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