2020年8月28日 更新

クチコミについての対話

ネットリサーチCron : リサーチ関連の話題・手法について、業界内外の人が息抜きに読めるような軽いコラムです。

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A ここのところ、顧客満足度やNPSといったテーマの仕事をずっとしているわけですが。
B はい。サービス・マネジメント関連のリサーチですね。

A そこで、国ごとの違いや日本の特殊性に関心が出てきました。
B どういうことでしょう。企業や商売がこれだけグローバル化しているなかで、文化的特性は重要でしょうか。

A JCSI(顧客満足度指数)という調査データがあるでしょう。
B はい、経済産業省とか生産性本部の旗振りで作った調査ですね。低いといわれている日本企業の生産性を上げるために。

A 旗振りしたのがどこかはよく知りませんが・・・生産性を上げるために使えるのでしょうかね?
B どうでしょう。顧客満足度と生産性の繋がりは直接的にはイメージしづらいですね。

A ちなみに、JCSIの元となっている調査は、Swedish Customer Satisfaction Barometerといって、スウェーデンで一番最初に全国的に行われたんですよ。大規模な国際比較調査って、Barometerってつけますね。EuroBarometerとか。
B ああ、北欧の。やっぱりこの分野は北欧なんですね。

A 経緯は私もよく調べていないので、たまたまかもしれないですが、面白いですよね。何か企業や産業のあり方の一種のモデルが、アメリカやイギリスから北欧に移っているようで。
B 社会の先進性みたいなこともあるんじゃないですか。閣僚の写真なんか見ると、フィンランドとアメリカじゃあ随分イメージが違います。

A 日本人が何も言えないですが。
B 国ごとの違いへの関心っていうのは、その辺のことですか。日本の後進性を批判したい、みたいな。

A 話が脱線しました。そうではなくて、アメリカ版のACSIというのもあるんですが、これと、JCSIはちょっとデータのとり方、というか調査票に顕著な違いがあるんです。
B ほう。

A  それは、「クチコミ」という指数の扱いです。ACSI では「クチコミ」に対応しているのは,「苦情の申し立て」の項目であるのに、JCSIは「他者への推奨」、つまりコミュニケーションする相手も違うし、ポジネガも逆の項目なんですね。(「日本版顧客満足度指数のモデル開発とその理論的な基礎」南・小川2010)
B 概念を構成する観測変数が全然違うと。それはなぜなんでしょう。

A 日本人は、表立って苦情を申し立てることが少ないから、らしいです。
B そうですかね。近頃はモンスター何たらとかいいますけどね。「黒かどや」っていうTwitterアカウントご存じですか。モンスター顧客に反撃するサービサーのつぶやきです。

A 知らなかった、見てみます。それはそうと、また別の国際比較研究がありまして。「日本人は良いクチコミはしなくて、悪いクチコミはする」という調査結果があります(「顧客満足の科学と顧客価値創造の戦略」圓川・ビョーン 2015)。「この商品はいい」っていうクチコミはなくて、「この商品はダメだ」っていうクチコミはしがちだという。
B ほう。メーカーに文句は言わないけど、陰で悪口は言うっていうことですか。そうかもしれないが・・オンラインとオフラインでもまた違うかもしれないですね。いや、一緒かな。

A 研究では日本人の文化的特性、自己批判的とか、不確実性回避傾向との関連を示唆しているんですが、クチコミとか推奨行動って、NPSとまさに関連しているじゃないですか。
B そうですね。なるほど、流行りのNPSについて、単純に日本で適用するというのはどうだろうか、ということですね。

A そうです。独特な傾向があるんじゃないかと。国際比較が必要だし微妙な問題なので、なかなか実証研究するのは難しいですが。
B 我々のクライアントは日本文化どっぷりの企業ということが多いので、納得させるうえでも日本の独自性を考慮した顧客満足度調査の設計が必要になりそうです。

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